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PSU小説・ファンタシースターユニバース 〜還らざる時の半世紀の終りに〜 universe49 足引っ張るんじゃねェぞ

 一夜明けて、ルディから会談についての連絡が来た。その内容は、"事の如何を問わず、会談の席には着く"という非常に曖昧なものであった。
 だが、せっかくのチャンスを逃すわけにはいかない。そういうわけで、当初アルファに同行するはずだったオルハ、ファビアに加えて、ランディ、アナスタシアまでもがパルムに降り立っていたのだった。
 一同が通されたのは大きな客間だった。以前オルハたちが訪れた時に通された部屋より4倍は広い部屋だ。そこに縦長に机が並べられていた。
 庭へと繋がる扉は大きく開け放たれ、手入れの行き届いた木々と小さな池が見えた。そこには流水に竹筒をさらし、重みで傾くと石にぶつかり音の出る"シシオドシ"というものがあり、風情を醸し出している。
「よぉ、久しぶりだな」
 部屋に入るとルディがすでに座っており、手を振って迎えてくれた。彼は目の下にくまができており、肌も荒れてしまっている。今日まで寝る間も惜しんで動き回っていたのだろうという事は想像がついた。
「本日は、お忙しい中どうもありがとうございます」
 アルファが深々と頭を下げると、皆がそれに倣った。
「ルディ、先日はどうもありがとうございました」
「なァに、気にすンなよ」
 アナスタシアが言うのにルディは笑って、
「じっちゃんももうすぐ来るから、まあ座って待っててくれ」
「……じっちゃん?」
 と続けた。それにアナスタシアは不思議そうな顔をして、思わず問い返す。
「あァ、ユーシスのことさ。ガキの頃からいろいろと教えてもらって、家族みてェなもんだから」
「なるほど、そうだったのですね」
 アナスタシアは頷いてから、席につく。他のメンバーも席についた。すぐに小姓が来て、人数分の茶を置いてゆく。
「それにしても、ご面倒をおかけして申し訳ございませんでした」
「あ、いや、別に全然構わねェよ」
 アルファが申し訳なさそうに言うのに、ルディは笑ってみせる。
「俺としても、良き慣習は残すべきだが、悪習は変えていかなきゃいけねェと思ってる。……いいタイミングだったんだ」
「……そうだね、もっと早くに変わっていればパパもママも……」
 ルディの声にオルハはうつむいて、呟くように言う。それは誰かに向けたものではなく、過去を思い出してつい口をついた、ただの独り言にしか聞こえなかった。
 誰も言葉をかけられないでいると、襖が開いてユーシスが入ってくる。ガーディアンズたちの顔を一通り見回して、それからぎょっとした顔で声をあげた。
「……アイラ!?」
 彼の視線はアナスタシアに注がれている。まるで、死んだ人でも見るかのような、驚いた顔だった。
「? わたくしが何か?」
 アナスタシアが自分の顔を指さして、きょとんとした顔で言う。その言葉に我に返ったのか、ユーシスは挙動不審に咳払いをして、それから自分の席についた。
「……いや、済まない、勘違いだ。……それではさっそくじゃが、話を始めようかの」
「……?」
 アナスタシアは不思議そうな顔で首を傾げているが、それを気にせず、アルファが口を開いた。
「ではまず、こちらの意向からお話しします」
 アルファが切り出した。
「ガーディアンズは、ダークファルスについて一日の長を持つオラキオに、情報共有と共同戦線をお願いしたいと考えています。その代わりと言っては何ですが、有事の際はガーディアンズが所有する全ての設備の使用権を提供します」
「……」
 それにユーシスは答えなかった。複雑そうな顔で首を傾げている。
「……じっちゃん、そろそろ観念したらどうだ?」
 渋い顔でルディが言う。
「……人前でそう呼ぶなと言っておるじゃろう」
「そんなの関係ねェ。じっちゃんの気持ちは俺だって分かるさ。だけどさ、ダークファルスがどんだけ強いかは、俺ら一族がよく知ってンだろ?」
「……一族の、悲願なのじゃ。他の者の手を借りなくとも、我らオラキオは必ずダークファルスを倒す。我ら一族の手によってダークファルスを倒す事に意味があるのじゃ」
「だから! なんでじっちゃんはそんなに頭が硬ェんだ!? そのプライドのせいでグラールが滅びちゃ意味がねェだろ!?」
 ルディが拳で机を叩いて叫び、しばらく時間が止まったように静かになった。庭にあるシシオドシが、かこんと澄んだ音を響かせる。
「えー、ちょっとよろしいでしょうか」
 静かにアナスタシアが口を開いた。
「ルディ、元老院の方々は今回の件についてどのような意向を?」
「ほとんどがじっちゃんと同じ意見だ」
「ふむ……」
 アルファが首を傾げて、難しい顔を見せる。すんなり行くとは最初から思っていなかったが、それでも思ったより難航しそうだと素直に思う。
「逆に聞きます。ガーディアンズが何をすれば、協力体制に合意して頂けるのでしょう?」
「……」
 ユーシスはまた答えなかった。視線を斜め下に泳がせ、やたらと茶に手を伸ばす。それは拒否の姿勢というより、"困っている"のだとアルファは判断した。
 実際の所、一番大変なのは板挟みになっているユーシスなのだろう。ルディのような若い者にはせっつかれ、元老院からもせっつかれ。その心労は相当のものだろうと予想できる。
 ガーディアンズとしてはつまり、彼自身に納得してもらった上でなおかつ、元老院に対しての手土産も渡してあげなくてはいけない。想定の範疇とはいえ、かなり難しい事だと思って、アルファは小さくため息を吐いた。
「あのさー、そういうプライドも大事だけどさ、その"うちルール"にこだわって全滅する方がマヌケだと、ボクは思うけどなぁ」
 机にどっかりと頬杖をついて、つまらなそうにオルハが言った。
「確かに。目的はダークファルスの討伐だろ? あんたらのルールを否定するわけじゃねぇが、優先事項を見極めてくれねぇか?」
「まあまあ、彼らを攻めても仕方ありません。穏やかにまとめましょうよ?」
 それに続いて熱気を帯びた声で発言するランディに、慌ててファビアが間に入った。
「そうですわ。まずは現実的な話題……情報交換をいたしませんか?」
 言ってアナスタシアはアルファに視線を向ける。彼女は軽く頷いて、口を開いた。
「ではまず、"名も無き少女"の事をお聞きしたいのですが」
「名も無き……?」
「はい。ダークファルスを倒す使命を帯びていた少女です」
「ああ……あの娘には可哀想な事をした」
 ユーシスは机の下で組んだ自分の足を見つめて、絞り出すように呟いた。
「話すと長いのじゃが、オラキオには代々純粋に戦闘力を磨いた血筋がある。ダークファルスを葬るためだけに能力を受け継ぎ、その名を利用される事を恐れ名を捨てる。その一族を"名無し(ネイムレス)"と呼び、あの娘……"アイラ"は、その257代目だった。元老院とわしを除いて、それが誰かという事は一切知らされておらん」
「……彼女が死んだという事は?」
「もちろん知っておる……あの娘の遺体がコナンドラムに確保された事も……。それであの血筋は事実上絶えてしまったからのう……」
 うなだれるユーシスに場が静かになる。
「あのさぁ、知ってたのに、なんで助けなかったの?」
「……」
 オルハのイラついた鋭い言葉に、ユーシスはちらりと視線を向けて、それからまた視線を落とす。
「……ダークファルスの存在は、広く知られてしまうわけにはいかん。だから代々のネイムレスは少数精鋭。かつては3、4人でパーティを組んでいるのが基本だったが、アイラの親は子宝にあまり恵まれなかった。長い時間が過ぎ、危機感が薄れていたというのもある」
 一息で話してから、ユーシスは湯飲みを口に運び、それからまた言葉を綴る。
「アイラは非常に責任感が強く、感受性の豊かな娘だった。どこからかダークファルス復活の予兆を見つけ、1人で行動していた。隠密行動が基本のアイラの動きを、我々も把握していなかったのじゃ」
「……でも、あれだけ派手な戦闘と多数の死者を出したんだ。すぐに情報は入ってきたんじゃないの?」
「いや、ゴミ捨て場は場所が場所だから、政府は動かなかったと聞いてる。そもそもモトゥブの行政の弱さは有名だからな」
 オルハの疑問に、ランディが答える。モトゥブには厳密に言うと政府機関は存在していない。それぞれのシティの代表によるモトゥブ通商連合が惑星政府の代わりを勤めており、ローグスたちの裏社会が事実上の政治を行っているというのが、現状だった。
「……そういうわけじゃ。だからこちらに情報が入ってきた時は、すでにダークファルスは倒され、アイラは死んでいた。そして、その死体がコナンドラムに回収されたことまでは掴めたが、コナンドラムを敵にまわしてしまうリスクを考え、我々は動けなかった」
 ユーシスの言葉にオルハはあえて言葉を返さなかった。個人的には反感を覚えたが、口に出さなかった。
 とはいえ空気を読んで黙ったのではなく、"言っても仕方が無い"と思ったらしかった。
「おい……なんだよ、そりゃ。あんな少女にダークファルスと戦わせて、挙句に放置かよ!?」
 ランディがユーシスを睨みつけ、鋭い口調で言い放つ。
「あの娘は無力な俺の目の前で、1人で戦い1人で死んでいった……なんとも思わねぇのかよッ!?」
 ユーシスははっとした瞳で顔をあげて、見開いた目のままで口を開く。
「……あの娘をご存じなのか……?」
「ああ、あの"欲望の箱"とやらがゴミ捨て場に落ちてきて、ダークファルスが甦った。彼女の最後の戦いは俺の目の前で繰り広げられたものだ」
「……あの娘は……」
 ゆっくりと息を吐いて、ユーシスは言葉を止めた。僅かな沈黙が続き、視線が集まる。それを気にしないで続けるユーシスは、悲しみよりどこか懐かしんでいるように見えた。
「……立派でしたか?」
 予想外の言葉にランディは驚いた。視線を落として首を傾げ、返すべき言葉をしばし探す。
「……? ああ、1人でダークファルスに向かって果敢に戦いを挑んでいた。立派だったさ」
「そうですか……」
 呟きながら、ユーシスがふっと微笑んだ。意外な表情にランディは戸惑い、次に続ける言葉を見つけられないでいる。
「残念ながら、欲望の箱もコナンドラムに回収されてしまっております。あの箱について、知っていることを教えて頂けませんか?」
 アルファは冷静に、言葉を綴った。それにユーシスはうむと頷いて、口を開く。
「あれは古来よりダークファルスが封印されていたと言われており、オラキオ一族が管理していた。だが、500年の戦争の混乱に乗じて盗みだされ、行方不明となっておったのじゃ」
「なるほど……ダークファルスはあの箱の力を借りなければ封印できないのでしょうか?」
「うむ。あれは過去文明の産物で、"深淵なる闇"に関連する悪しき存在を封じる仕組みになっておる。しかし、あの箱は"器"としての役割を果たすに過ぎん。箱の力を増幅して、"封印"を強固なものにせねば効果を発揮せん」
 ユーシスは険しい顔で説明する。それは、ダークファルスの存在がいかに強大であるかを物語っていた。
「だが、望みはある。"合"の時より早く不完全に復活して、おそらく力は完全に戻っていなかったはず」
「そういえば、奴も『封印が完全に解けていないうちに復活した』と言っていたな……」
 ランディが思い出したように続けた。
「うむ。"合"の時が近づくにつれ、封印の力は日々弱まっておるはずじゃ。じゃが、不完全な状態で倒され、力を取り戻すにはまだまだ時間がかかるじゃろう。まもなく訪れる"合"に復活したとして、その力は発揮できまい。奴が弱っている今、再度強固な封印を施すチャンスでもある」
「なるほど。幸か不幸か、時間的猶予はまだあります。できるだけ早くあの箱を取り戻さなければなりませんわ」
 アナスタシアがうつむいたまま、静かに言った。
「彼女の使っていた剣は、先日ガーディアンズで回収に成功いたしました。まだ勝機はあります」
 言いながら、アルファがナノトランサーから剣を取り出し、机に置いた。会談が破談になった際には即刻返却を求められる可能性も考え、一同は剣を持参していたのだ。
「……ふむ? "赤の剣"を回収しただと? 我らがいくら探しても見つからなかったというのに……」
「ぶっ」
 思わずランディが茶を吹き出した。単にねぐらに放り込んでいただけだというのに。
「まあランディ。あの地形は短期間に形を変えていますし、外部の人間には樹海のような場所ですわ」
「……そうなのか?」
 ランディが不思議そうに答えるのを気にせず、ユーシスはその剣に見入っていた。ゆっくりと手に取って剣先を天井に向け、何かに思いを馳せながら目を細めてそれを見つめている。
「この剣はとても素晴らしい剣のようですね。これもオラキオの技術なのですか?」
「これは純度の高い"ラコニア"というレアメタルで作られており、代々受け継がれておったものじゃ。使用者の精神に感応し、人の想いを受け取ってその力をいかんなく発揮する。いつ作られた物かも分からんし、今のオラキオにこれほどの剣を作る技術は無い」
「そうだ。俺の剣もラコニアにゃ違いねェが、純度が低くてそこまですげェ能力はねェ」
 すねた顔で口を尖らせながら、ルディが口を挟む。ユーシスが苦笑しながら、剣を机の上に戻した。
「ところで……現在、オラキオ全体としてはどのような動きをされているのですか?」
 アルファが口を開いて、話を変えた。
「調査隊が動いており、復活の兆しやその情報を収集しておる。じゃが、コナンドラムの連中は最近明らかに動きを見せておらんな、今は復活させる時期ではないと判断しておるのやもしれぬ。……もっとも、何かあった場合に対抗できる戦力が少ないのも事実じゃが」
「それであれば、ガーディアンズからも戦力を提供する事ができます。力を合わせて戦いませんか?」
「……」
 ユーシスはまた、答えなかった。赤の剣に視線を向けたままで。
「……ひとつだけ、頼みがある」
 予想外の言葉が、ユーシスの口からこぼれた。
「お主、これを振ってみてくれんかの」
「? わたくしですか?」
 不思議そうな顔でアナスタシアが答える。それにユーシスは、ゆっくりと頷いた。
「では……庭で」
 アナスタシアが剣を取って、縁側から庭へと降りる。演舞を行うにはちょうどいい広さだ。
 ゆっくりと息を吸って、瞳を閉じる。長い間の人々の想いを、この体に降ろすかのように。
 アナスタシアの体が、舞い始めた。ゆっくりと振り上げ、体を返しながら反対側へと振り降ろす。それから軽い跳躍の後、横に薙ぐ。
 両手に伝わる程良い重さ。両手にしっくりと来る握り心地。まるで両手に吸いつくかのよう……。
 初めてこの剣を握った時に覚えた錯覚が、真実味を帯び始める。

 ――この感触を、わたくしは知っている――?

「お見事」
 ユーシスが手を叩きながら立ち上がる。
「……!」
 振り返って、アナスタシアは驚いた。
 ユーシスの瞳から、涙が溢れていたからだ。PSU小説・ファンタシースターユニバース 〜還らざる半世紀の終りに〜 universe49 足引っ張るんじゃねェぞ
「……まるで、あの娘が帰ってきたようだ」
「! まさか」
 アナスタシアがはっとした顔をあげる。
「まさか、アイラというのは……」
「……うむ。わしの娘じゃよ」
「なンだってェ!?」
 素頓狂な声をあげながら、ルディが飛び上がった。あまりに慌てたせいで、足を滑らせてザ・ブトンを吹っ飛ばせながら、尻餅をつく。
「隠しておってすまんかったな。そうじゃ、わしが256代目のネイムレスじゃ。アイラはわしの娘なのじゃよ。幼い頃に一度会ったのを覚えておらんか?」
「……!」
 ルディはぺたりと尻餅をついたまま、まるで化け物でも見るかのようにぽかーんと口を開けて、ユーシスを指さしたまま硬直していた。
「……思えば、不敏な娘だった。生まれた事さえ秘密にされ、修業のみの毎日。いつ来るか分からないダークファルスとの戦いに備え、最期はダークファルスと相打ちに……普通の人間としての、楽しみひとつ知る事なく!」
 最後の方は、ユーシスは天を仰いで叫んでいた。まるで、熱い想いが弾けたかのように。
「……お主、名前は?」
「わたくし? アナスタシアです」
「アイラによく似ている……どれ、老いぼれの剣を受けてくれぬかな?」
 言いながらユーシスは、硬直したままのルディの方を向いて右手を差し出して、頷いた。ルディは我に返り、自分の剣を渡す。
「さぁ」
 言いながらユーシスは剣を握って、上段に構えた。
「……!」
 反射的にアナスタシアは剣を構える。胴はがら空きのはずなのに、打ち込める気がしない。
 無意識にアナスタシアは舌打ちした。

 ……ただの老人かと思っていたが、とんでもない。達人ではないか。

「どうぞ、遠慮無く」
「くっ……いやああぁぁぁ!」
 アナスタシアは牽制に軽く上段から切りつける。手加減など忘れていたし、気付いてもする気がしなかった。全力を出しても、勝てるとは思えなかったからだ。
 ユーシスは、すっとわずかに体をそらし、アナスタシアの剣を受ける。剣先を下に向けて角度をつけ、さっと剣を受け流してしまった。赤の剣はざくっと地面に刺さる。
「……!」
 アナスタシアは素直に驚く。あまりにスムーズな受け流しに、剣が触れた気がしなかった。

 ……恐ろしい。この人の実力は並大抵のものではありません。ここまで来るのに、どの位の戦場を潜り抜けてきたというのでしょう……!

「私はずっと、悩み続けていた。だが、答えが見えたようじゃ。ありがとう、アナスタシア、それにガーディアンズたち」
 ユーシスは言いながら、目を細めて笑う。それから座敷の面々を振り返りながら、剣を掲げた。
「今ここに宣言する! 我らオラキオはガーディアンズと協力体制を取り、ダークファルスを滅ぼすため、共に戦うッ!」
「ご英断頂きありがとうございます」
「うむ。元老院はわしとルディが説得する。心配するな」
 振り返り微笑むユーシスは、まるで別人かと思うほど、瞳が輝いていた。
「……笑ってる」
「?」
 ルディの呟く声に、ランディが振り向いた。
「じっちゃんがあんなに笑ってンの、初めて見た」
 真剣な目で2人が剣を交えるのを見つめながら、ルディが呟いた。それは口からこぼれ出た、という表現がふさわしいと思える声だった。
「……確かに、似てるからな」
 ランディも思わず呟いていた。ルディはその言葉の意味が分からず、とりあえずランディを振り向いてみる。
「アナスタシアは、あの少女にすごく似ているんだ」
「……ああ、あンたも会ったことがあるんだったっけ」
「まあな。瓜二つだ。別人とは思えない」
 何故かランディは少し照れたように、鼻を指でこすった。
「……そうだな。たまにゃ、こンなのも悪くねェか」
 ルディが2人に視線を戻して、わずかに目を細めて言った。
「必ず、ダークファルスを倒そう」
「ああ。ガーディアンズの連中も、足引っ張るんじゃねェぞ」
「オラキオこそな」
 言いながら、2人は笑っていた。気付けば、皆が笑っていた。

「どうした?」
 PPTシャトルに戻って、ランディはアナスタシアに声をかけた。彼女は座ったままで布に巻いた赤の剣を両手で抱いて、静かにうつむいていた。
「……わたくしは、一体誰なのでしょうね」
「?」
 アナスタシアが呟くのに、ランディは首をかしげる。何と言ってやれば良いか分からなかったから、そのまま無言で隣に座った。じきにシャトルが動き始め、星間飛行を始める。
「バーバラは初対面のはずのわたくしを知っていました。ランディもユーシスも名も無き少女……アイラに瓜二つだと言います。……結果としてそれがオラキオとの会談で切り札となったのは良いのですが……」
「んー……」
 ランディは指で頬を書きながら、視線を上へと向けた。なんと声をかけてやればいいか、さっぱり分からない。
「わたくしは一体誰なんです? わたくしはカズじぃの"子供たち"で、ただの1人のガーディアンです。別に特別な存在ではありません」
「まあ、あれだ。キャストの顔というのは、数万件のパーツデータから好みのタイプを選んで形成されるわけだろ? その中に、たまたま似たものがあってもおかしくないんじゃねぇか?」
「ですが、フェイスパーツの組み合わせは数兆以上あるのです、偶然にしてはでき過ぎています。それ以前に、存在自体が隠されていたアイラのパーツデータがデータベースに登録されていたとは思えません」
 うつむきながら淡々と言うアナスタシアに、ランディは言葉に詰まる。まったくもって、その通りの答えだったからだ。
「……っていうかさー、アナスタシアはアナスタシアっしょ。それでいいとボクは思うんだけど?」
 前の席に座っていたオルハが、振り向きながら言った。オルハが物怖じしないのはよく知っていたが、あまりにぶっきらぼうな言葉が、ランディには少し気になった。
「おいおいオルハ、気持ちは分かるけどさ、もうちょっと言葉を選んでやれよ……ん?」
 言い終えようとして、ランディはふと気づく。オルハの視線が、ずっとこっちを見ている。しかもそれは、わずかに睨みつけるような、強い視線だった。
「……どうしたんだ? 何を苛ついてる?」
「べ、別に苛ついてなんかないよ。ただボクは、グダグダするのが好きじゃないだけっ」
 言い放って、オルハはぷい、と前を向いてしまう。それから少し暗い表情をすると、視線を落として自分の体を見回してから、腕を組んで荒い鼻息を吐いた。
「……? まあいいや。――とにかくアナスタシア、俺もそんなに気にしなくていいと思うんだ。アナスタシアはアナスタシアだろ? 何か問題あるか?」
「それは確かにそうなのですけど……」
 左手をそっと胸に当てて、アナスタシアは続ける。
「わたくしの知らない所でわたくしを知っている人がいる。まるで、心を鷲掴みにされている気分です」
「……」
「確かに、気にしすぎなのかもしれません。単なる偶然かもしれません。ですが……」
 それきり、アナスタシアは押し黙ってしまった。ランディはかける言葉が見つからず、ただ頭を掻いた。
 ……どうしたらいいんだ、俺は。そもそも、こういうのは得意じゃねえ。
「ああ、そうだ。新しいボディの調子はどうだ? 今日、演舞もやったし、よく分かったんじゃないか?」
「……? ええ、予想通りの動きをしてくれたと思いますが……」
 アナスタシアは不思議そうな顔で見上げながら、曖昧に言葉を締めくくる。
「そのボディにさ、結構似合うと思うんだよ、アレ」
「あれ? ……ああ、ヘッドドレスですか? 任務で着けるわけにはいきませんので、今日は着けていませんが……」
「着けて見せてくれねぇかな」
「……え?」
 アナスタシアが驚いた顔で硬直した。それからおずおずとナノトランサーに手を突っ込むと、ヘッドドレスを取り出す。
「なんだ、ちゃんと持ってるんじゃねぇか。さあ」
 笑顔でずい、と詰め寄るランディに押されて、アナスタシアは銀の髪をさっと手で分けて、ヘッドドレスを頭に乗せた。
「おー! いいじゃん、やっぱ似合う。その銀の髪に、似合うと思ってたんだ」
「……!」
 ふと、アナスタシアが頬を染める。それから、視線をそらした。
「……褒めても、何も出ませんわ」
「はは、まあいいじゃねぇか。……あのさ、俺たちはみんな、あんたの事を信用してんだ。それでいいんじゃねぇか? なぁ?」
 ランディの言葉の最後は、明らかにこの場の全員に向けられていた。
「そうですよ。あなたの能力は素晴らしいものです。これからも頼りにしていますよ」
「そうそう。あまり深く考えちゃダメよ?」
 それに答えて、ファビアとアルファが言う。だが、オルハは腕を組んで目を閉じたままだった。
「そういう事だ。これからも頼むぜ、指揮官サマ」
「……あ、有難う……ございます」
 アナスタシアは照れたまま、うつむいて静かに答えた。
「……さて、コロニーに着いたわよ。早速本部に報告しなくちゃ」
 アルファが言うと、すぐにドアが開く。全員がぞろぞろとシップから降りて、本部に向かった。
「……?」
 ランディはふと、すたすたと先を歩くオルハに気づく。先ほどの事といいちょっと気になっていたので、すぐに駆け寄って声をかけた。
「おい、待てよオルハ。どうした、体調でも悪いのか?」
「別に」
 振り向きもせず素っ気無く言うのに、ランディは首をかしげる。どう見ても、怒っているようにしか見えないからだ。
「なぁ、どうしたんだ? 俺、なんか怒らせるような事したか?」
「別に」
 相変わらずの答えに、ランディはため息をつく。それから、はっとなって口を開いた。
「あ、そうか分かった! お前も女だし、もしかしてあの日……」
 そこまで言ってから、ランディの視界が回った。オルハはランディの腕に飛びつき、地面に倒して右腕を関節技で固めていたからだ。
「ランディのばかっ!」
 ごきん、と音がした。紛れもなく、ランディの肩が抜けた音だった。PSU小説・ファンタシースターユニバース 〜還らざる半世紀の終りに〜 universe49 足引っ張るんじゃねェぞ
「ぐああぁぁっ!? ちょ、お前!」
「ふん」
 オルハは鼻息も荒く、呻いているランディを尻目にそのまますたすたと歩いてゆく。
「……いってぇ……一体なんなんだ?」
 ランディは外れた肩を押し込みながら不思議そうに呟いて、アルファたちに視線を向ける。3人とも「さぁ?」と首をかしげるだけだった……。

「それでは、皆さん」
 ミーティングルームに響く声で、アルファが言った。部屋はいつもの通り、アルファとラジャをはじめとした、ダークファルス討伐任務に就いている者たちが座っている。
「まずは、良い報告があります。ガーディアンズとオラキオ一族は協力体制をとって、ダークファルス討伐にあたる事が決定しました」
 一同がおーっと歓喜の声をあげ、拍手が響き渡る。
「これで容赦無く、やつをぶちのめせるな」
「……そんなの関係無く、どうせぶちのめすんだろうと思いますが……」
 左掌に拳をばしん、と当てながら言うランディに、アナスタシアは小声でツッコんだ。隣に座っていたイチコも、うんうんと同意する。
「ふふ、わらわの最大級の雷をお見せする時が来たぞえ」
「姫の雷……なんかとてもすごそうっスね……ドキドキ」
「……喜んでおるのか?」
「きゃー! 変態キター!」
 メァルが不敵に微笑むと、ウィンドがそれに答えて、ヴァルキリーが茶化す。食事会で打ち解けたメァルは、"姫"と呼ばれるようになっているようだった。
「うむ」
「……」
 その光景に、テイルが何を納得したのか腕を組んで頷いていた。それに答えるように、隣にいるアンドリューが寝ながらゆっくりと頷く。
「……」
 だが、オルハだけは何も言わなかった。一番後ろの席で腕を組んだまま、静かに座っていた。
「あと、もう一つ嬉しいニュースがあります」
「お、装備開発部で新しいホーミング・チョークでも開発したのか?」
 アルファが言うのを、ランディが茶化す。一同がどっと笑った。
「そんなもの作るはずがありません! ……今回の任務にあたって、メンバーの増員が決定したんです」
 一同が再度歓声をあげる。
「では、入ってください」
 ゆっくりとドアが空いて、人影が姿を表した。
「……」
 最初に入ってきたのは、小柄なニューマン男性。落ち着いた物腰で、注意深く室内を見渡す。
 彼は身長は低めで、体躯がいやに細い。目は細いが、睨みつけるのではなく見透かしたような視線が印象的だった。上着と帽子を同じ緑にしており、肩まで伸ばした銀の髪と調和して、独特の統一感を醸し出していた。
「お!」
 それを見て、アンドリューが席を立った。
「シロさん、久しぶり〜」
「お、アンドリューか。久しぶりだな」
「ご無沙汰しております」
 それに気付いてアナスタシアも席を立ち、頭を下げた。
「お、あんたはいつぞやの」
 それに気づいて、彼も頭を下げた。
 そのニューマン男性の後に、キャスト男性とニューマン女性が続く。
「エレナ様」
「はい」
 キャスト男性が片膝をついて、右手を差し出す。ニューマン女性はその手を当たり前に取って、引かれるように室内へと入ってきた。
「チーム"Deo pomum"の皆さんです」

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 アルファの紹介に、3人が頭を下げる。
 先頭のニューマン女性がスカートの裾をつまんで広げ、頭を下げた。彼女は瞳が大きく丸顔でグレイの髪を長く伸ばしており、とても幼く可愛らしい少女のような印象を受ける。白をベースにピンク色でアクセントをつけられた、ローブ状の衣服に身を包んでいた。
「皆さま、お初にお目にかかります。私はエレナ・セラと申します。どうかよろしくお願いいたします」
 次に、キャスト男性が1歩あゆみ出た。銀色のボディは光沢を放ち、シャープなシルエットが印象的だった。生体パーツを使用していないせいもあり、そのクールな印象をより強くしている。
「我が名はラファエル、エレナ様を護るために存在している。聖槍"ステイグマ"に誓ったのだ、この使命を全うすると」
「……うむ? エレナとな?」
 不意に、メァルが口を開いた。ウィンドとヴァルキリーが、不思議そうな顔で覗きこむ。
「その声、まさか……メァルお姉様……!?」
 メァルの声に気づいて、エレナの瞳が輝きだした。胸の前で手を組んで、ぷるぷると身震いしている。
「メァルお姉様あぁぁぁっ!」
 エレナが、飛んだ。
 誇張ではない、目の前のテーブルに足をかけたと思った途端、そのままメァル目掛けて本当に飛んだのだ。
「うわあぁっ!?」
 メァルとヴァルキリーは思わず身をよじって逃げる。
「え? ……うわっ!」
 ウィンドは状況に気づかず、逃げ遅れてしまった。エレナの体当たりをもろに受け、がしゃん、と椅子ごと後ろにひっくり返る。
「いたたた……」
 ウィンドは床で頭をしこたまぶつけ、ちかちかする視界に戸惑いながら、上体を起こす。
 ぽよん。
 顔面に、柔らかい感触が伝わる。
「……?」
 その何かから顔を離し、右手で押しのけて起き上がろうとするが、それは掌に合わせてぽよぽよと形を変えるだけで、動かない。
 徐々に視界がはっきりし始め、ウィンドの視界が白く染まってゆく。
「……っ!」
 驚いた顔でウィンドを見つめるエレナ。視界を覆っていた白は、彼女の服の色だ。視線を上げると、わずかに身震いするエレナが、赤い顔で下を見下ろしている。
 そして、ウィンドが右手で触れているものは……。
「きゃあぁぁぁぁっ! このすけべ!」
 そうそれは彼女の、ニューマンらしくない豊満な、胸。仰向けに倒れるウィンドに、ちょうどエレナはのしかかる形になっており、そのエレナの左胸をわし掴みにしていたのだった。
「うわあぁぁっ!? 違うっス、これは不可効力っす! おっぱ……がふう」
 ラファエルの拳が、ウィンドの顔面にめりこむ。哀れウィンドは、またそのまま倒れてしまった。
「貴様! エレナ様になんと不埒な事を!」
「……いや、今のはエレナ殿が悪い気がするのじゃが」
「うんうん、私もそう思う」
 その光景を見ながら、メァルとヴァルキリーが頷いていた。
「にしてもエレナ殿、ガーディアンズになっていたとは聞いていたが、まさか同じ任務にあたる事になるとはの」
「ええ、私こそびっくりです! まさか、まさか、憧れのメァルお姉様と一緒にいられるなんて……!」
「……ねぇ姫、この娘って昔からこんな調子なの?」
 ぼそぼそと、ヴァルキリーがメァルの耳元で囁く。
「うむ。敬虔なグラール教信者の家系の者なんじゃがの。真面目すぎるのか、時々思いもしない行動力を発揮するのじゃ」
 それを聞いたヴァルキリーは、苦笑するしかなかった。
「よろしくお願いいたしますわね、メァルお姉様っ!」
「う、うむ」
 きらきらと目を輝かせるエレナに、メァルは苦笑した。
「……そろそろ、いいかい?」
 ニューマン男性が、口を開いた。しん、と空気が止まる。彼は表情も変えずきょろきょろと見回して。
「俺の自己紹介」
「……あ、ええ。もちろん」
 アルファがはっと我に返り、答えた。
「ああ。……で、俺が、シロッソだ」
 シロッソが話し終えても、沈黙がしばらく続く。彼は不思議そうな顔で、部屋内を見渡した。
「……?」
「……あの、みんな自己紹介みたいのを待ってるんじゃないでしょうか」
「ああ、そういうことか」
 ファビアの声に、彼はうんと頷いて左掌を右の拳でぽんと叩く。
「……あー、なんだ。よろしく頼む」
 それだけ言うと彼はそこらの椅子にどっかりと座ってしまった。
「……以上3名に、ダークファルス討伐任務に参加してもらいます」
 アルファが言うのに、誰からともなく拍手が沸いた。

「さて……と」
 重そうに椅子から腰を上げて、バーバラは切り出した。
 ここはコナンドラムの本拠地にある会議室だった。とはいえ広さはせいぜい4メートル四方ほどで、窓すら無い小さな部屋だ。天井には照明がいくつか設けられてはいるが、それでも室内は薄暗く感じる。もともとは倉庫だったものを、無理やり会議室に使っているようだった。
「これだけ人が集まるとは、珍しいね」
 バーバラはにやりと笑いながら、嫌味交じりの言葉を吐いて、室内を見回した。
 長方形に並べられた会議机には、プルミエール、イオリ、C4、ラ=シークが座っており、各々の思いを持ちながら、バーバラを見つめている。
「さて、まずはC4からガーディアンズの諜報活動の成果を報告してもらおうか?」
「はい」
 C4は右手を胸に当て、大げさに頭を下げてみせる。
「まず、ガーディアンズの若きガーディアン、"イーサン・ウェーバー"なる者が、レリクスで封印装置の起動に成功しました。ガーディアンズはそれを使い、"合"の時にSEED落下を防ぐようです」
「んむぅ、その封印装置やらの起動で、ダークファルス復活に何か影響があるのですか?」
 C4が説明するのに、ラ=シークが指先で髭を弄びながら問いかける。
「それについてはまったく分かりません。封印装置は"SEEDを歪曲空間に転送する"らしいのですが……機密情報扱いで、なかなか入手する事ができておりません」
 ラ=シークはわずかに眉をひそめてから、静かに「んむ」と頷いた。バーバラも腕を組んだまま、うんうんと適当に頷く。
「そういえばC4、ボディやシステムの調子はどう? そのシステム、私が設計したんだから、何の問題もないはずなんだけどね♪」
「はい、まったく問題ありません。同期・共有などが正常に行われているため、諜報活動が容易です」
「うむ♪」
 プルミエールは両手を腰に当てながら、満足そうに微笑んでみせた。
「機械の体は便利だが、"死合い"の楽しさは薄れそうだな」
 背もたれにどっかりと体重を預けたイオリが、面倒くさそうに呟く。
「……これはこれで、別の楽しみがございます」
 C4の答えにイオリはふっと笑って、そのまままた眠ったように両目を閉じる。
「そういうイオリこそ、潜入捜査はどうなっている?」
 思い出したように、バーバラが口を開いた。イオリはそれに面倒そうに体を起こして、口を開く。
「教団は楽しいことが何もないし、"幻視の巫女"様もなかなか表に出てきやしない。トモエももうすぐ前線復帰できる故、拙僧はまた篭ろうかと思っておる」
「……分かった。またあの場所か?」
「うむ、またシコン諸島の施設を貸して頂くぞ。ガーディアンズたちにわざと情報を流して、拙僧の方へ来るようにしてくれい」
 これから起こることを思い浮かべたのか、嬉しそうににやついてイオリが言う。バーバラはそれにふっと笑いながら頷いた。
「いいだろう、自由に使え。……ラ=シーク、例のドラッグは?」
「んむ、ほとんど完成しております。あとは実験を重ねて完成度を高めたい……という所ですか」
「そうか。また研究でいらなくなった素体が出たらそちらに回す。自由に使え」
「ははっ、感謝の極み。……ジャッキーが残した資産、有効に活用させて頂きますよ」
 ジャッキーの名前が出たことに、バーバラははっとなってラ=シークを振り返る。ラ=シークもその反応に一瞬、しまった、という顔をしたがすでに遅い。
 次の瞬間、バーバラはぐんと振り上げた拳を、ラ=シークに叩きつけようとしていた。
「待って、バーバラさまぁ!」
 慌ててプルミエールがその腕にしがみつく。
「ねぇ、落ち着いてよバーバラさま? こんなヒゲ@#!にやつ当たりしても意味がないから。ね?」
 ちっ、と大きく舌打ちして、バーバラはまた椅子へと座る。ラ=シークはやれやれという顔で両手を開いてから、ゆっくりと息を吐いた。
(……研究者の成果物に対する愛情など知りませんが……ジャッキーの体から収集したデータ、有効に活用させてもらいますぞ。これで、ヒューマンがいかに優れた種であるか分からせることができる……!)
「さて、こうなると"合"の時には動かない方が得策と言えそうだな。封印解除装置も完璧な状態ではない。そうだな、プルミエール?」
「はーい、その通りです♪ 16年前に破壊されたもののデータをもとに構築してるんだけど、どうもうまくいかないの」
「16年前……とは?」
 C4が不思議そうな顔で聞き返す。イオリも興味があるらしく、目を開いて顔を向けた。
「んむぅ、我々は16年前に試作品を完成させているのですよ。残念ながらオラキオの小娘に感づかれてしまい破壊されましたが、"欲望の箱"の封印を解くことには一度成功しているのです」
「そうだ。憎たらしいビーストどもをちょいと困らせてやろうと思ってモトゥブで封印を解いてみたんだが。機械は壊されるわ、変な場所で復活してしまうは、あの時は本当にロクなことがなかったね」
 ラ=シークの言葉を補足して、バーバラがやれやれと説明する。それにC4とイオリは納得して頷いた。
「まあ何にせよ、プルミエールは封印解除装置の完成を急げ。それが終わり次第、"オリジナル"を入手する……まあ、どうせ情報はすべてこちらに把握されてるんだ。そんなに難しくないだろうよ」
 肩をすくめて、馬鹿にしたような口調で言うバーバラに、一同が頷いた。
「よし、それでは引き続き計画を進めろ。間も無く終焉を迎える、この世界のためにね……」
 邪悪な笑みを浮かべて、バーバラは言った。

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